慶應血液検査研究会は、慶應関連病院の血液検査の標準化・精度管理およびそれに関する研究などを行い、血液検査の病院相互における拡充を図ることを目的として平成10年に設立され、血液検査の発展を目指した活動を行っています。
本会の主な活動は、血液サンプルサーベイおよびサーベイ報告会、血液形態カンファレンス、学術講演会などが挙げられ、慶應関連病院での血液検査共通基準値の設定などの成果が得られています。特に形態カンファレンスではバーチャルスライドを用い、サーベイ形式により個々の細胞の解説を行っています。
本会設立の趣旨に則り、関連病院間のコミュニケーションを図るとともに、相互の発展に寄与すべく活動していくことを目指しております。
本会へは、関連病院にて血液検査を担当する方、血液検査に関心をもち、本会の目的に賛同していただける方であればどなたでも参加でき、現在42施設が参加しています。
標本スライドの情報を画像化した電子ファイルで、専用の撮影装置を用い連続した視野の顕微鏡写真を撮影し、それらを繋ぎ合わせることにより広い視野の血液標本画像としたものです。
専用のソフトウェアーを用いPC上で顕微鏡観察と同様な動きが可能となっています。また、細胞カウントも行えます。
研究会の前にバーチャルスライドをUSBで配布し、施設ごとではなく全員の参加とし、結果をメールまたはUSBで送って頂き事前に集計してから、研究会の場で先生の解説も踏まえ細胞について意見交換をします。
2006年10月 (21回) |
形態カンファレンス(末梢血、骨髄血標本配布) | 三ツ橋雄之先生 |
バーチャルスライド(CD配布) | 三ツ橋雄之先生 | |
講演「止血・血栓関連検査の最近の話題」 | 村田満先生 | |
2007年6月 (22回) |
形態カンファレンス(末梢血、骨髄血標本配布) | 三ツ橋雄之先生 |
バーチャルスライド(CD配布) | 三ツ橋雄之先生 | |
2008年1月 (23回) |
形態カンファレンス(末梢血、骨髄血標本配布) | 三ツ橋雄之先生 |
バーチャルスライド(CD配布) | 三ツ橋雄之先生 | |
講演「APTTおよびPTの機序と臨床的意味」 | 新井盛大先生 | |
2008年6月 (24回) |
フォトサーベイ | 三ツ橋雄之先生 |
講演「多発性骨髄腫の基礎と臨床」 | 服部豊先生 | |
2009年3月 (25回) |
講演「新WHO分類第4版の概要」 | 三ツ橋雄之先生 |
講演「骨髄増殖性疾患の診断基準改訂:JAK2遺伝子変異」 | 宮川義隆先生 | |
2011年3月 (26回) |
バーチャルスライド(USB配布) | 三ツ橋雄之先生 |
2012年3月 (27回) |
バーチャルスライド(USB配布) | 三ツ橋雄之先生 |
講演「同種造血幹細胞移植」 | 加藤淳先生 | |
2013年3月 (28回) |
バーチャルスライドリンパ腫(USB配布) | 三ツ橋雄之先生 |
講演「血液疾患と感染症」 | 森 毅彦先生 |
本研究会は慶應義塾大学関連病院間の臨床検査に関する技術向上や情報交換を目的に1999年に発足しました。
慶應関連病院は関東近県を中心に約150施設です。病院間では患者さんの紹介、逆紹介により転院されることがあるばかりでなく、医師のローテートがあり、病院ごとに検査データの基準範囲が異なったり病態識別値が異なったりすることは、再度、検査を行うなど患者さんにとっても担当する医師にとっても負担を生じることになります。そこで関連病院間で診断クライテリアや治療基準が共有できることを目指して基準範囲の共有化をおこない、共通基準範囲を設定してきました。最近は、日本臨床検査標準協議会(JCCLS)が推奨する共用基準範囲を採用(一部、臨床判断値を併用)する病院も増えており、慶應関連病院間だけではなく、全国的な標準化を進める方向で情報発信しております。
また、本研究会では年1回サーベイを実施し、年1回の学術集会で解析結果を報告しています。このサーベイの特徴は市販の精度管理試料とともに生血清や生血液を試料としている点と、乖離したデータを示した施設にはその要因解析のフォローをきめ細かく実施している点です。
学術集会では、その時に話題になっているテーマについて、2,3の施設に発表してもらい、意見交換することで慶應関連病院施設間の情報共有をしております。ここ数年ではパニック値の取り扱いについて、学会発表も行い、当会として推奨する運用も発信しております。また、毎回、学術講演も行い、知識や技術の習得に努めております。