臨床検査医学

教授挨拶

臨床検査医学 教室主任 村田 満

臨床検査医学は臨床医学のなかでも基本的かつ横断的な学問分野です。これは日本臨床検査医学会が、日本内科学会や日本外科学会などと並び「基本領域」の18学会の一つに数えられていることからも理解できます。臨床検査医学は、内科系医師はもとより、すべての医師がその基本を習得すべき必須の学問であり、特に現代医療においては臨床検査なくして診療は不可能となってきています。今日の多くの医学部、医科大学に「臨床検査医学講座」が設置されています。以前は「臨床病理学」という名称が用いられましたが、紛らわしいため臨床検査医学という言葉がわが国でも用いられるようになりました。欧米でもClinical Pathology(臨床病理学)とLaboratory Medicine(臨床検査医学)が混在していますが、実態は殆ど同じです。我が国で中心となる学会は2000年11月まで「日本臨床病理学会」、これ以降「日本臨床検査医学会」と改称しています。慶應義塾大学病院は、全国にある「日本臨床検査医学会 認定研修施設」の一つです。

教室の概要

 当臨床検査医学教室は、(1)学部、大学院、研修医そして臨床検査技師の教育、(2)病態解明の為の基礎研究、先端的検査の研究開発を行っています。実学を重視し、病院組織の一部である中央臨床検査部と一体となり臨床に役立つ医学研究、医学教育を実践しております。
 教育•研究については病院組織としての「中央臨床検査部」として昭和45年からLaboratory Diagnosisとして学生教育を行っておりましたが平成15年より大学院医学研究科博士課程に「臨床検査医学」が設立され臨床検査医学の専攻により学位取得が可能となりました。平成21年に医学部に臨床検査医学教室が設置され、それまで病院中央臨床検査部に所属していた専任医師は、医学部教員と病院中央臨床検査部主任(医師)を兼務することになりました。

教育について

 医学部学生の系統講義、臨床実習、初期臨床研修医の指導に力を入れています。疾患の病態生理を正しく理解し、診断することができるようになるために、特に症例を大切にし、データを読む実践学習を通じて臨床検査を総合的に捉え、問題解決能力の高い医師を育てることを目標としています。また後期研修医教育として臨床検査専門医資格取得カリキュラムに従った研修プログラムが用意されています。さらに臨床検査技師の卒後教育にも力を入れています。

研究について

 基礎医学と臨床医学の融合という塾医学部の基本理念に基づき、基礎研究の成果を患者に還元することを主要な研究目標としております。新しい検査法が実用化されるまでの多くのステップ、すなわち一次研究と系統的レビュー、治療意思決定における有用性、検査方法論の確立、検査の安全性、倫理性と経済性の評価、保険医療への適応、そして病院間の検査標準化、データ共有システム、などが研究対象となります。具体的には新しい検査項目の開発、新しい検査項目の選定、臨床的有用性を確認するための研究、臨床検査を含む臨床各科との共同研究、検査データの作成や専門的知識による研究支援を行っています。
 それぞれの専門を有する教員が関連する基礎医学教室、臨床医学教室などと連携をとり研究に励んでおります。その研究領域は極めて幅広いものになっています。

診療について

 検査業務、精度管理、データ解釈、臨床医とのインターフェース、専門的知識を通しての医学的コンサルテーション、新規検査の導入検証などが検査医としての主な診療業務です。教員(医師)はそれぞれの担当部署の主任として検査技師とともに日常検査にあたっています。