慶應血液検査研究会は、慶應関連病院の血液検査の標準化・精度管理およびそれに関する研究などを行い、血液検査の病院相互における拡充を図ることを目的として平成10年に設立され、血液検査の発展を目指した活動を行っています。
本会の主な活動は、血液サンプルサーベイおよびサーベイ報告会、血液形態カンファレンス、学術講演会などが挙げられ、慶應関連病院での血液検査共通基準値の設定などの成果が得られています。特に形態カンファレンスではバーチャルスライドを用い、サーベイ形式により個々の細胞の解説を行っています。
本会設立の趣旨に則り、関連病院間のコミュニケーションを図るとともに、相互の発展に寄与すべく活動していくことを目指しております。
本会へは、関連病院にて血液検査を担当する方、血液検査に関心をもち、本会の目的に賛同していただける方であればどなたでも参加でき、現在37施設が参加しています。
標本スライドの情報を画像化した電子ファイルで、専用の撮影装置を用い連続した視野の顕微鏡写真を撮影し、それらを繋ぎ合わせることにより広い視野の血液標本画像としたものです。
専用のソフトウェアーを用いPC上で顕微鏡観察と同様な動きが可能となっています。また、細胞カウントも行えます。
研究会の前にバーチャルスライドをUSBで配布し、施設ごとではなく全員の参加とし、結果をメールまたはUSBで送って頂き事前に集計してから、研究会の場で先生の解説も踏まえ細胞について意見交換をします。
第27回慶応血液検査研究会
単球系細胞でバラつきが多かった細胞の抜粋
2016年2月 (31回) |
バーチャルスライド | 三ツ橋雄之先生 |
講演「血友病遺伝子治療とインヒビターの制御」 | 窓岩清治先生 | |
2017年2月 (32回) |
バーチャルスライド | 三ツ橋雄之先生 |
講演「急性骨髄性白血病と遺伝子異常」 | 松下弘道先生 | |
2018年2月 (33回) |
バーチャルスライド | 三ツ橋雄之先生 |
講演「造血器細胞表面マーカーの基礎」 | 小池由佳子先生 | |
2019年3月 (34回) |
バーチャルスライド | 三ツ橋雄之先生 |
講演「小児の腫瘍」 | 嶋晴子先生 | |
2021年5月 (35回) |
バーチャルスライド | 三ツ橋雄之先生 |
講演「骨髄腫の最近の知見」 | 菊池拓先生 | |
2022年2月 (36回) |
バーチャルスライド | 三ツ橋雄之先生 |
講演「造血器腫瘍におけるゲノム医療と今後の可能性」 | 片岡圭亮先生 | |
2023年3月 (37回) |
講演「骨髄性腫瘍における最近の知見」 | 松下弘道先生 |
本研究会は慶應義塾大学関連病院間の臨床検査に関する技術向上や情報交換を目的に1999年に発足しました。
慶應関連病院は関東近県を中心に約150施設です。病院間では患者さんの紹介、逆紹介により転院されることがあるばかりでなく、医師のローテートがあり、病院ごとに検査データの基準範囲が異なったり病態識別値が異なったりすることは、再度、検査を行うなど患者さんにとっても担当する医師にとっても負担を生じることになります。そこで関連病院間で診断クライテリアや治療基準が共有できることを目指して基準範囲の共有化をおこない、共通基準範囲を設定してきました。最近は、日本臨床検査標準協議会(JCCLS)が推奨する共用基準範囲を採用(一部、臨床判断値を併用)する病院も増えており、慶應関連病院間だけではなく、全国的な標準化を進める方向で情報発信しております。
また、本研究会では年1回サーベイを実施し、年1回の学術集会で解析結果を報告しています。このサーベイの特徴は市販の精度管理試料とともに生血清や生血液を試料としている点と、乖離したデータを示した施設にはその要因解析のフォローをきめ細かく実施している点です。
学術集会では、その時に話題になっているテーマについて、2,3の施設に発表してもらい、意見交換することで慶應関連病院施設間の情報共有をしております。また、毎回、学術講演も行い、知識や技術の習得に努めております。